一般社団法人 日本ドローン防犯防災支援ネットワーク

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いま知っておきたい【一時滞在施設】という選択肢

大規模地震が起きると揺れそのものだけでなく、交通まひ・道路渋滞・通信混雑が重なり「帰りたいのに帰れない」人が一気に増えます。 このとき多くの地域で大切にされている考え方が「むやみに移動を開始しない(いわゆる一斉帰宅の抑制)」です。 発災直後は救命救助や消火などが最優先になり、徒歩で一斉に動く人が増えると、緊急車両の通行や救助活動の妨げになりかねません。 だからこそ、皆さんの頭の片隅に置いておいてほしいのが「一時滞在施設」の存在です。

「一時滞在施設って何?」
東京都の案内では発災後およそ72時間は救命救助が最優先であり、その間は一斉帰宅を抑えることが重要だと説明されています。 そして、学校や企業など“身を寄せる場所”にいる場合はその場に安全にとどまるのが基本、移動中など屋外で被災した人は一時滞在施設で待機する、という整理です。
・避難所:自宅が被災して生活ができない人が中長期で過ごす場所(自治体の避難所運用)
・一時滞在施設:主に“外出先で帰れなくなった人”が、状況が落ち着くまで一時的に待機する場所(駅周辺なども想定)
「帰宅困難者のための待機場所」と覚えるとイメージしやすいと思います。

「東京都の例」
ポイントは発災時に“開設情報”を確認して動くこと。 東京都は、都立施設だけでなく民間事業者や区市町村などの協力で一時滞在施設の確保を進めています。 ただし重要なのは、民間施設には“事前に公表していない”ところもあること。 そして発災時は施設被害の状況により受入れできない場合があることです。 そのため東京都は、開設に関する情報が発信されてから行動するよう呼びかけています。
https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/kitaku_portal/1005196/index.html

「ポイント」
・事前に「候補地」を眺めておくのは大事
・でも本番は“今そこが開くか”の公式情報を確認してから動くのが大前提
「むやみに移動しない」は“我慢”ではなく“命を守る作戦”
内閣府のガイドラインでも、発災後速やかに「むやみに移動を開始しない」という呼びかけが行われる前提が示されています。 東京都でも、都民が災害時にむやみに移動しないよう努めること、平時から連絡手段や待機場所確認などの準備に努めることが条例で示されています。  「とにかく家へ」ではなく、いったん止まる・待つ・情報を取りに行く。これが結果的に自分も周りも守ります。

「東京以外の地域について」
東京都はポータルが分かりやすい例ですが、考え方は全国共通で、各自治体・各都市圏で取り組みが進んでいます。内閣府も帰宅困難者対策のページでガイドライン等をまとめています。
1)まずは自分の地域の「公式ルート」を見つける
おすすめの検索ワードはこれだけでOKです。
「(都道府県名 / 市区町村名) 帰宅困難者 一時滞在施設」
「(都道府県名 / 市区町村名) 帰宅困難者対策」
「(都道府県名 / 市区町村名) 防災アプリ 防災マップ」
2)「駅・繁華街」周辺は要チェック
帰宅困難者が集中するのは、ターミナル駅や繁華街、イベント帰りの動線です。 地域によっては“駅前滞留者対策”の枠組みで情報が出ることもあるので、自治体ページで「駅」「滞留」「帰宅困難」あたりの言葉が出てきたら要注目です。
3)事前に分からなくても、当日は「案内に従う」が正解
東京都の例と同じで施設が被災して使えない場合もあります。 当日は自治体・駅・施設管理者の案内(掲示、放送、公式サイト)を優先し、開設情報を確認してから移動しましょう。

今日からできる「帰宅困難」対策チェックリスト
・家族・職場と「災害時の連絡ルール」を決める(集合場所/連絡手段の優先順位)
・勤務先・学校の「待機方針」を確認する(在館待機か、帰宅判断の基準は何か)
・よく使う駅・ルート周辺の一時滞在施設情報を“ざっと”見ておく
・モバイルバッテリー/小銭/常備薬/簡易食/防寒具などを小さく持ち歩く
・「徒歩で帰れる距離か?」を一度だけ現実的に考え、無理なら“待機”を前提にする 

私たちからお伝えしたいこと
災害時は情報の不足や混乱が不安を増幅させます。 けれど“一斉に動かない”という共通理解と“一時滞在施設を使う”という選択肢を知っているだけで、行動はぐっと落ち着きます。
私たち日本ドローン防犯防災支援ネットワークも平時からの備えと、いざという時に地域全体の安全につながる行動が広がることを大切にしています。 まずは今日「スマホで自分の地域の帰宅困難者対策(ページやアプリ)」を一度だけ探してみてください。 そのひと手間が当日の安心を作ります。